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彼の背中

「ん」

祟裕を後ろからギュッと抱きしめた。
『ん?何したん?』
彼が振り向きながら聞く。
「何でもなーい」
と言いながらも
「なーでーがーたー」
そう呟きながら角度が急な肩に抱きつく。
『やめろや〜』
ってへへって笑いながら言う彼に
「やだー」
って言うと
『やだじゃない』
と返され、目線を合わせながら
『今日飯食べに行こっか?』
と小声で微笑んだ。
私は赤くなった顔を隠すように
「準備してくる!」
と部屋を飛び出した。

 

そんな彼女の後ろ姿を目で追いつつ、
『可愛ええな…』
と呟く。
支度を済ませて家の近くの居酒屋に歩いて行く。
こんな時間が幸せだ。
いつも一緒に呑む仲良いおっちゃん達に
『こんばんは〜』
と微笑むと彼女も俺に続いて笑顔で
「こんばんは」
と微笑む。
おっちゃんは彼女の方を見て
˹ 可愛い子やな〜、彼女か? ˼
と声を掛けてくる。
『そうなんすよ、自慢の彼女ですから。取らないで下さいよ?』
ふわりと笑いながら彼女の肩を自分の胸に引き寄せる。
独占欲とやらだろうか。
俺らしくない嫉妬心が。
顔が火照るのを感じる。
恥ずかしい…
˹ 兄ちゃん照れとるやん(笑)取る訳ないやろ、俺らも嫁さんおるわ。せっかくやから姉ちゃんも一緒に飲まへん?˼
と笑顔で聞かれる。彼女の顔を伺うと、笑顔で頷いた。
いつもの調子でビールを片手におっちゃん達と話してる俺を頷きながら聞いてくれる彼女。
だが、お酒に弱い彼女はいつの間にか寝てしまっていた。気付いた俺は着ていたパーカーを肩に掛け、しばらくおっちゃん達との晩酌を楽しんだ。
˹ほなそろそろ帰ろか〜 、兄ちゃんも姉ちゃんと仲良くするんやで(笑)˼
と言い、俺らの分まで払って帰ってくれた。
『おっちゃん、ゴチになります!』

と言うと
˹おう、気ぃつけて帰りや˼

颯爽と帰っていった。
『そろそろ帰らなあかんよ?』

と言ったものの
「崇くん、おんぶぅ」

と両手を出してくる。
あー、もう可愛い…
そんな彼女に俺は勝てない。
『しゃーないなぁ。』
と背中を向けるとふにゃんと笑って
「あんがと。」
と抱きついてくる。
『ご馳走様でした』

とだけは言い、店を出る。
彼女の体温を感じながら帰路に着く俺。
『幸せだなぁ。』

家の鍵を開けて彼女をベットに寝かせる。

『もう可愛すぎるで。おっちゃん達やったから良かったけど気許しすぎ。』

と言って、おでこにキスを落とす。

彼女には嫉妬してる俺を見せたくないから。

寝てる俺の姫さんにキスを。f:id:RyuShuu:20170215084830j:image